掃除をしなければと思っていても、「やる気が出ない」「どこから手をつけていいかわからない」と感じたことはありませんか?
特に、毎日の生活や家事に追われていると、掃除はつい後回しになりがちです。
そんなときこそ、「できなかったこと」に注目するのではなく、「できたこと」に目を向ける掃除術がおすすめです。
本記事では、達成感をベースにした掃除術「できたこと掃除術」について、その考え方や具体的なステップ、家庭での実践例をご紹介します。
「できたこと」掃除術とは?
「できたこと」掃除術とは、その名の通り「やれたこと」にフォーカスする掃除の進め方です。
たとえば、「今日は机の上だけでも片付けられた」「トイレ掃除だけ終えた」「玄関の靴を一足揃えた」など、たとえ一部でも掃除ができた事実を意識的に認識し、ポジティブな気持ちで受け止めるという考え方です。
日々の生活のなかで、掃除という行動を“義務”ではなく“達成”としてとらえることにより、継続的な掃除の習慣づけがしやすくなります。
また、「やれなかった部分」ではなく「やれた部分」に注目することで、自分への評価が自然と優しくなり、掃除に対する心理的なハードルも大きく下がります。
これは、完璧主義によって途中で挫折してしまう人にとって特に効果的です。
さらに、「今日は◯◯だけ」と割り切ることで、掃除に取りかかる初動のエネルギーを大きく抑えることができ、結果的に「ついでにここもやろうかな」と思える余裕を生むこともあります。
このように、「できたこと」掃除術は、日常に無理なく溶け込む持続可能な掃除法として、特に忙しい現代人にぴったりのアプローチなのです。
なぜ達成感が大事なのか?
達成感は、心理的報酬です。
「できた」という感覚が脳にポジティブな刺激を与え、気分を高め、次の行動への意欲を引き出してくれます。
これはモチベーションの源泉にもなり、掃除という一見地味で面倒な作業にも前向きな意味を与えてくれます。
掃除を億劫に感じる人ほど、
「やっても終わらない」
「またすぐ汚れる」
「どうせ誰にも気づかれない」
といったマイナスの思考にとらわれがちです。このような思考が積み重なると、掃除に対してストレスや無力感を感じてしまい、結果的にさらに手がつけにくくなります。
しかし、たとえ小さなことでも
「今日は玄関だけでもきれいになった」
「シンクの水垢が取れてピカピカになった」
と実感できれば、その瞬間に「自分にもできた」という自己効力感が生まれます。
これは、「またやってみよう」という気持ちを自然と引き出す大きな原動力となります。
また、達成感は習慣化にもつながります。人はポジティブな体験を繰り返したくなる性質があるため、「掃除=気持ちいい」「掃除=達成できた」という感覚が身につけば、無理なく継続することができます。
日々の積み重ねが、いつの間にか大きな変化をもたらしてくれるのです。
「できたこと」掃除術の実践ステップ
ステップ1:タイム制で取り組む
時間を5分?15分に区切って、1か所だけ掃除してみましょう。
たとえば「キッチンのシンクだけ」「洗面台の鏡だけ」「玄関のたたきを掃くだけ」など、特定の場所を限定して取り組むのがポイントです。
このような短時間集中型のアプローチは、心理的なハードルを下げてくれます。
「全部やらなきゃ」と思うと手が止まってしまいがちですが、「今はここだけでOK」と思えると、気軽に行動に移しやすくなります。
また、時間をタイマーなどで可視化すると、終了時間が明確になり「あと◯分だけ頑張ろう」と前向きな気持ちを保つ助けにもなります。
たとえばキッチンタイマーやスマートフォンのアラーム機能を活用して、掃除時間をゲーム感覚で楽しむのも効果的です。
さらに、「1日1エリアだけ」とルール化して、曜日ごとに場所を分ける方法もおすすめです。
月曜はキッチン、火曜は洗面所、水曜はリビング…と分けておけば、無理なく家全体の掃除が回るようになります。
ステップ2:完了リストを作る
終わった掃除を「完了リスト」として書き出しましょう。
掃除をした直後は、達成感が一番強く感じられる瞬間です。
そのタイミングで「自分が何をしたか」を明確に記録しておくと、日を追うごとにその蓄積がモチベーションになります。
たとえばメモ帳やスマホのメモ機能を使って
「・キッチンの排水口を掃除」
「・リビングの机の上を片付け」
「・玄関マットを外ではたいた」
など、具体的に記載しましょう。
手書きのノートやホワイトボードを使ってリスト化するのもおすすめです。
毎日リストが埋まっていくことで、視覚的にも達成感が強まります。
さらに、週末などにそのリストを見返して、
「今週はどれだけやれたか」
「特に頑張った日はいつだったか」
などを振り返ることで、自分の行動を客観的に評価できるようになります。
この積み重ねが、掃除を習慣化するうえで非常に効果的です。
また、家族で共有できる場所(冷蔵庫の扉など)に完了リストを貼り出しておくと、家族全員でお互いの頑張りを確認し合えるため、協力意識やモチベーションの向上にもつながります。
ステップ3:「見える化」で視覚的に達成
掃除後の状態を写真に撮っておくのもおすすめです。
「ビフォー・アフター」を比べることで、自分の努力が目に見えてわかります。
これは、自分自身の成果を客観的に確認できるだけでなく、あとで振り返ったときに「このとき、頑張ったな」と気持ちを肯定する材料にもなります。
写真に記録を残すことは、SNSや家族グループなどで共有するきっかけにもなり、
「きれいになったね!」
「ここまで変わるんだ」
といった声を受けることでさらなるモチベーション向上にもつながります。
スマートフォンのアルバムを「掃除ビフォー・アフター用」に作っておくと、写真を見返す習慣も生まれ、自然と掃除の意識が高まります。
また、写真を使った「掃除記録ノート」や「月間ビジュアルチェックシート」を作成することで、日々の進捗が視覚化され、自分のペースや成果の偏りも把握しやすくなります。
忙しくて記録を取りにくい日でも、写真1枚なら数秒で残せるので、継続しやすい方法として非常に有効です。
ステップ4:自分にひとこと褒め言葉
掃除を終えたら、「今日もやれた」「自分えらい」とひとこと自分を褒めてあげましょう。
たとえ小さな行動であっても、それを認識し自分をねぎらうことで、心が軽くなり、次への意欲が自然と湧いてきます。
この「自分へのごほうび言葉」は、自己肯定感を高める大切なステップです。
「部屋の隅っこを拭いただけだけど、えらい」
「忙しい中で玄関だけでも掃除できた、すごい」
といった具体的な言葉を添えると、より実感が深まります。
さらに、そうした褒め言葉を日記やノートに書き留めておくと、あとから読み返したときに、自分のがんばりが目に見えてわかり、心があたたかくなります。
自分で自分を応援する習慣が、掃除に限らず日常の行動全体に前向きな影響を与えてくれるでしょう。
「誰も見ていなくても、自分が見ている」という意識をもって、自分に優しい言葉をかけてみてください。それが、日々の掃除を楽しみに変える力になります。
家庭での「できたこと掃除」実践例
例1:子育て中の家庭
子育て中は思うように掃除が進まない日も多いですが、
「おもちゃをひとまとめにしただけ」
「おむつゴミを捨てた」
など、ほんの小さな行動も立派な掃除です。
特に赤ちゃんや幼児がいる家庭では、片付けようとしてもすぐに散らかってしまうため、「片付けが完了する」という概念にとらわれないことが大切です。
たとえば、寝かしつけの合間にリビングのクッションを整えたり、授乳のあとに哺乳瓶をすぐ洗ったりと、数分単位の“すきま時間”を活用する形でできたことを書き出すようにすると、日常の流れのなかで自然と達成感を感じられます。
また、子どもが成長してくると、「お片付けタイム」を一緒に取り入れるのも効果的です。
おもちゃを親子で片付ける習慣をつくれば、掃除そのものがコミュニケーションの場にもなります。
完了リストには、親子でできたことを書いておくと、あとで見返したときに親子の成長も感じられて一石二鳥です。
日々の掃除が「やらなければいけない負担」ではなく、「できたことの証」として記録されることで、子育ての大変さの中にも前向きな視点を見出すことができます。
例2:共働き夫婦
仕事から帰って疲れていても、
「洗面所のタオルを替えた」
「玄関の靴を揃えた」
など、数分でできる掃除で達成感を得ましょう。
1日の終わりにあえて小さな掃除を意識的に取り入れることで、気持ちの切り替えにもなり、ストレス解消効果も期待できます。
例えば、夜の歯磨き前に洗面台を軽く拭く、夕食後にキッチンのガス台の油汚れをひと拭きするなど、「ついで掃除」を生活習慣に組み込むと、無理なく続けやすくなります。
また、完了リストをスマホの共有アプリで記録すれば、どちらがどの掃除を行ったかが明確になり、「気づいた人がやったこと」に対する感謝の気持ちも伝えやすくなります。
掃除が義務ではなく「協力」や「思いやり」の表現として認識されることで、パートナーシップの質も向上します。
たとえば、休日には一緒に掃除しながら音楽を流すなど、掃除時間をふたりのリラックスタイムに変える工夫も効果的です。
完璧を求めるのではなく、「今日これだけできたね」と言い合える関係が、掃除を継続するモチベーションとなり、住環境も気持ちも健やかに保つことができます。
例3:高齢者の一人暮らし
体力や可動域に制限がある場合でも、「テーブルを拭いた」「新聞をまとめた」など、軽い掃除でOKです。
無理のない範囲でできる掃除を選び、それを日課にしていくことで、生活にリズムが生まれます。
たとえば朝の時間帯に「窓辺のほこりを拭く」、夕方に「テレビ周りを整える」といったように、時間帯ごとに役割を分けると、日々の生活の中に掃除を自然に組み込むことができます。
また、「今日は台所の布巾を洗った」「ポストに溜まったチラシを処分した」など、掃除の定義を広げて考えると、思った以上に多くの“できたこと”が見つかります。
その際、カレンダーや日記に「今日できた掃除」を1行でも書き残しておくと、自分の行動を客観的に認識でき、次の日のやる気にもつながります。
特に一人暮らしの場合、こうした自分との対話が心の安定を保つ助けにもなります。
掃除を通じて、生活空間だけでなく心の整理も進めることができるのが、この達成感掃除術の魅力です。
高齢者こそ、毎日の中で少しずつ“できたこと”を積み重ねていくことが、健康維持や生活の充実感につながります。
まとめ:掃除の見方を変えれば、心も軽くなる
掃除は「しなければならないこと」ではなく、「できたことを感じられる行為」として捉えると、格段に気持ちが楽になります。
義務感やプレッシャーから生まれるストレスではなく、自分の行動を認めることで得られる達成感を基準にすることで、掃除そのものの印象がポジティブに変化します。
「できたこと掃除術」は、日々の暮らしのなかで達成感を積み重ねる方法であり、目の前の一歩を認める力を育てる習慣でもあります。
完璧を目指すよりも、「今日はここだけでもやれた」と思えることに価値を見出す姿勢は、心を穏やかに保ち、日常にゆとりをもたらします。
こうした考え方は、掃除だけでなく家事や仕事、人間関係などにも応用が可能です。
「完璧じゃなくても前に進めた」と思える気持ちは、自己肯定感や幸福感を高める大きな鍵となります。
「できたこと」に目を向けることで、自分自身への信頼も少しずつ育ちます。
そしてその信頼の積み重ねは、快適な空間をつくるだけでなく、人生をより前向きに、より豊かにしてくれるでしょう。
ぜひ、今日から「できたこと」掃除術を取り入れて、掃除のストレスから解放され、自分にやさしくなれる毎日を始めてみませんか?